小青竜湯。名前からは何の薬かわかりません

これから花粉症の季節になります。今回は、そんな時期につかえそうな漢方薬「小青竜湯」を取り上げてみましょう。

太陽病期に使用する漢方薬として小青竜湯や桂枝湯、麻黄湯があります。小青竜湯は、桂枝湯や麻黄湯を用いても表証が解消せず、心下(みぞおち)に水飲が停滞した状態(胃の中に過剰な水分が貯留した状態)により水気と寒邪が相打つことで、吐き気を催すが何も吐けない乾嘔、発熱、咳等の症状に対し、用います。さらに、口渇、下痢、むせび、尿量減少と下腹部膨満、息切れ等の症状が出る場合も同様です。

青竜湯は半夏、麻黄、芍薬、乾姜、甘草、桂枝、細辛、五味子の8味から構成されています。麻黄と桂枝は発表剤で表証を解し、桂枝は水毒の上衝を抑え、麻黄は喘咳を治します。また、半夏、乾姜、細辛の 3 つは心下の水飲を去り、芍薬と五味子は咳嗽を収め、甘草は諸薬を調和し、上衝した気を静め、組織の緊張を緩和します。特に、乾姜と甘草は、特に呼吸器系に対し、強力に温めて利水をはかる作用があります。

 傷寒にかかり、心下に水飲が停滞し、それで咳をして軽い息切れがし、表証がまだ
解していないために発熱するけれども、体内に水飲があるために、咽が渇かないものは小青竜湯を用います。表の邪を散ずると同時に、心下の水をさばく働きがあります。また、水分が四肢に滞留して浮腫を呈する溢飲の場合の発汗を促します。さらに、咳と呼吸困難が強くて横になっていられない状態に小青竜湯を用いることができます。

 ちなみに、小青竜湯の由来は、中国の神話に出てくる四神の 1 つで、東方を守護する神の青竜からきています。青は、五行説では東方の色ですが、その原義は、植物の緑色であると考えられます。青竜の青も緑色で、麻黄の色から名付けられたものだという説があります。